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No.735-2013/04/01

授産製品を量販店でダイエーおおとり店の展示販売会

No.735号

  「障害者の人たちが作ったクッキーはいかがですか。東北の作業所の商品も販売しています」――これは大阪府堺市西区にあるダイエーおおとり店1階食料品レジ前の催事コーナーからの呼びかけの声だ。社会貢献を積極的に推進するダイエーと障害者を支援する大阪府の認定NPO法人第1号の「トゥギャザー」がタイアップして実現した。 今回販売した商品の多くは堺市内21ヵ所の障害者施設で構成する「パッセネットワーク」から提供されたクッキーや菓子、アクセサリー、縫製品など250品目で、3月は実験的に2日間販売した。「授産製品」全体を一般市場に通用する水準に引き上げ、量販店での販売につなげていく“最初の一歩”の試みだ。


「授産製品販売」転機に


  今回のダイエーのような販売拠点が無償で提供されれば、授産製品の販路が簡単に拡大するのかというと、そうでもない。トゥギャザーの専務理事・上月正洋氏は、「授産製品の場合、どんな作業ができるかというところから入るので、販売から考える一般のMDと逆行しているのが現状」と指摘する。


  「クッキーがやりやすいとなればクッキー、パンがいいとなれば、みなパン屋をやる」。  結果、過当競争になり、常に新商品が投入される一般商品とは太刀打ちできなくなり、最悪の場合、撤退せざるを得なくなる。どんな商品が受けるのか、市場の目は厳しい。


  このような中でも、上月氏らが求めるのは、販売のプロである量販店側のアドバイスだ。授産製品だからといって、商品表示がおろそかになっていては、いくらいい場所を提供してもらっても、通用する時代ではない。アレルギーに関する表示などは命にかかわる。PL法の問題、JANコードの取得、クレーマー対策――小さな施設では手に余る課題ばかりだ。


  設営された会場を見たダイエーおおとり店の重光英男・店次長は「展示会という看板の位置をもっと下げたら、分かりやすいですよ」とアドバイスしていたが、ちょっとしたことでも福祉関係者には新鮮な「お客様目線」の見方だった。POPなども一工夫すれば、もっとお客さんを引きとめることも可能だ。


  4月からこれまでの「障害者自立支援法」が改正され、「障害者総合支援法」に変わった。企業に義務付けられる障害者雇用率も1.8%から2%にアップされた。障害者を取り巻く環境の変化をどうやったらうまくビジネスにつなげることができるか、NPOと量販店の取り組みに注目したい。


今週の目次




今週の業界トピックス

たいらや 4年後県内シェア率10%を目標に多店舗展開を志向
生活協同組合コープみらい 首都圏の3生協合併、国内最大の生協に
日本郵便 JPタワー商業施設「キッテ」が3月21日東京駅前に誕生
ハミングステージ 川崎市などで展開のSM全5店をマルダイに売却
良品工房 白田典子代表が日生協の産直交流会で講演(中)


今週の開店情報


SJ新店レポート

神奈川県内2号店目、駅近のデリカ・青果一体型ゾーニング
 ヤオコー相模原鹿沼台店
競合店対策としてEDLPを追及、「とにかくカカク」をコンセプトに
 マミーマート柏根戸店
建替え進む大型団地内NSCの核として利便性追求の300坪SM
 マルエツ赤羽台店


チェーンストア・コンビニの2月度販売概況

昨年の閏年の影響で大幅マイナス
 セブンのみが既存店プラスを維持


“乳”の新しい価値提案 明治「スポーツミルク」発売

乳たんぱく質強化の機能性白物飲料


企業動向

雪印メグ、新商品と同時並行でロングセラーの販売も強化


食品マーケティング〈2013年上期、市販用冷食・新商品始動〉

ケイエス冷食「肉だんご」等のロングセラーに新工夫加える


非縁社会のぬくもり・39 小澤信夫

日本経営実務研究学会国際大会に参加して
究極の顧客満足(CS)について


今週の大店立地法公示速報


交差点

WBCに中南米の新たな風



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