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No.639-4/4

震災産地の野菜支援セールを行うSM
(埼玉県熊谷市のヤオヨシ見晴店)

No.639号

   福島原発事故の影響で、政府が「出荷制限」や「摂取制限」の指示を出したため、近隣農家が悲惨な状況に置かれている。食料自給率の低い日本は本来、農家を守らなければいけないはずだが、簡単に切り捨てている。埼玉県秩父に本部があり、秩父から熊谷市にかけて計12店のスーパーを展開するヤオヨシ。熊谷市内の見晴店では店舗入口に白地で赤色の文字で「やさい震災産地支援セール」と大きく掲げている。売場では地元・埼玉の他、群馬や栃木、茨城、福島の農産物も品揃え。米は福島県の会津産コシヒカリをレジ前に平積みする。売場では堂々と産地表示を行い、同社豊田幸雄会長自ら市場で仕入れ、安全が保証された農産物を格安で販売する。


関東産・葉物野菜の不安払拭を


  3月11日に起きた東日本大震災。東北から関東にかけて大きな被害を出し、地震による大津波で多くの尊い命が失われた。現在、福島原発事故によって、近隣住民が飢餓状態に近い生活を強いられている。福島県産の野菜を生産している農家は政府から出荷制限や摂取制限を指示され、ついには自殺する農家の男性まで出た。福島県以外でも茨城県や栃木県、群馬県などにも出荷制限の指示を政府が出したため、関東一円の葉物野菜が敬遠されている。農産物の出荷を控えている各県では政府に対して厳しい暫定規制値の見直しを要望。さらに、県単位の出荷制限を一定の地域に範囲を狭めることを提案し、露地やハウスなど栽培形態ごとにデータを調査することを要望した。


  東北地区のスーパーの中には店舗自体が大津波に流され、建物が損壊するなど大きな損害を受けた。現在、店長が先頭に立って店舗を切り盛りしている店も多い。一方、関東圏では消費者が政府の発表するあやふやな情報に振り回されて、一時的なパニック状態に陥っている。震災直後から、カップ麺や米、缶詰、菓子、ミネラルウォーター、カセットボンベ、乾電池を買いに走る客が売場に殺到。最近は福島原発事故の放射線漏れで、残留放射性ヨウ素や放射性セシウムが水道水や農産物に暫定基準値を上回ったと発表。ほとんどは一時的なものだったが、消費者を不安にする結果を招いた。


  「がんばれ東北」「応援しよう東北」と甚大な被害を受けた東北地区を支援しようとする動きは日本全国、世界各国から起きている。多くの店舗では店頭で義援金を東北地区に送ると同時に小売各社は各自治体と協力して緊急救援物資を届けている。


  埼玉・群馬県産ほうれん草1束58円、茨城県産レタス1玉や群馬・福島県産ニラ1把、茨城県産水菜1把が各49円。安全な野菜を現在、格安で販売する食品スーパーがある。埼玉県熊谷市の「ヤオヨシ見晴店」では店舗出入口に「やさい震災産地支援セール」と大きく掲げ、客にPRしている。同店ではもともと野菜中心に、鮮魚、精肉、惣菜、デイリーを壁面沿いに置いて、グロサリーの品揃えは極端に絞っている。八百屋出身の商売人らしいセールだが、今こそ青果売場では葉物野菜の安全性を消費者に分かりやすく説明して販売するべき。買い溜めした加工食品だけの食生活では暮らしてはいけない。


今週の目次




今週の業界トピックス

イオン 地震発生14分後、幕張本社に対策本部を設置
日本スーパーマーケット協会 3団体合同の東日本大震災対策本部を設置
マミーマート 食品DS子会社のギガ物産を大黒流通チェーンに売却


今週の開店情報一覧


MDフラッシュ


SJ新店レポート

通販会社が初めて展開する、生鮮3品揃えた業務用スーパー
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1階はミートデリカ充実した売場、2階にはベビー用品の西松屋
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SJ話題店レポート

惣菜をくくり直し、通路広く再編幅広い年齢層を対象に「大改装」
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新たな段階に入ったチェーンストアの省エネ対策シリーズB

セブン&アイ・ホールディングス
21店舗が東京都環境確保条例対象店舗、適正な照明・空調温度を徹底管理


問われる基本姿勢 震災で消費者の見た信頼と不信

頼りない!どうして埼玉でカップ麺や缶詰がなくなるの


食品マーケティング

大手卸をグループとする三菱商事、伊藤忠商事の新戦略
 ※菱食軸に三菱商事は系列卸4社を統合・合併
  菱食の新社長に三菱商事から井上彪氏、中野勘治現社長は会長に
  菱食、外食の「リクエ事業」に業務用2次卸の支援策推進
 ※伊藤忠食品の日本食、輸出戦略
  香港大手SM(300店展開)へ日本食品輸出請け負う
 ※ 丸紅グループの冷食専業卸ナックスナカムラに熊田専務が新社長就任
 ※冷食のニチレイフーズは54歳の若手、池田泰弘常務が社長就任
 ※東洋水産が風味調味料のシマヤと資本・業務提携


カスタマー ディライト・31 顧客の感動・歓喜・大喜び 小澤信夫

顧客の気持ちを汲んだ状況対応に感動
主婦とお子さんを思う心が自然に出ている


今週の大店立地法公示速報


交差点

ロス対策迫られる「計画停電」



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