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No.551-6/8

特集
絆づくりでローカルSM連合化進めるセルコチェーン

No.551号

  スーパーマーケット業界で今、地方を中心に大きな地殻変動が起きている。地方における大手・中堅SM企業の商勢圏拡大に伴う競争激化、後継者問題などに加え、未曾有といわれる経済危機が拍車をかけ、中小SMの経営が厳しくなっている。こうした現状に協同組合セルコチェーン(佐伯行彦理事長)は中小SM企業の助け合い組織という真のボランタリーチェーン活動の本分に立ち帰った方針を掲げ、経営問題、情報、教育、商品を軸とした活動を推進している。(写真は佐伯理事長自ら講師を務める店長セミナー風景)


  地方のスーパーマーケット業界はこの10年で様変わりしてしまっている。北海道では札幌フードセンター、つしま、王子サービスセンター、ジョイなどの名前が消えている。アークスとコープさっぽろ、イオンの3極による競争が地場SMの体力を消耗させたとみられる。


  富山県で着実に店舗数を増やしている大阪屋ショップは22店のうち10店が他社撤退跡への出店だが、そのうちの半数以上が地元SMの撤退跡へのものだ。富山県にはアルビスなどの北陸圏勢に加え中京圏のバローが進出し、競争が激化する中で地場SMの多くが衰退に追いやられたものだろう。


  一方、今回取材したセルコグループの豊月(苫小牧市)や大阪屋ショップ(富山市)のように、地場産業として地元に密着した商売をローコストで経営できる仕組みを地道に造り上げた企業がこの10年間で大きく伸びている。逆に体力のない地場企業を衰退に追いやった一要因となった地元外資本企業の店舗が今ひとつ精彩を欠いている。 SMのナショナルチェーンは未だに日本では存在していないが、出来つつあるリージョナルチェーンといえども、まだ出身県外では必ずしも強さを発揮出来ないでいる。


  地場SMとして元気の良い企業はほとんどといってよいくらいGMSを恐れていない。MR(マーケティングリサーチ)の対象にすら入っていない。ライバルとしてマークするのは同じ地場企業である場合が多い。GMSほどではないにしてもリージョナルチェーンのSMもそんなにはマークされていない。SMも地場色の強い生鮮・日配のウエイトが高いだけに、ユニクロのような圧倒的に強い業態にはなり得ていないということだろう。


  こうした点からも地域産業としてSMを位置づけ、地域ごとにその連合体をつくり真に地域に役立つSMを共に作ろうというセルコの新しい活動は、商品の共同仕入れなどといった直接的な経済活動をベースにおいていないだけに難しい面もあるが、逆に言えば自由度の高い本質的な活動ができるともいえる。新しいVC活動として期待される所以である。


今週の目次




流通羅針盤


特集 絆づくりでローカルSM連合化進めるセルコチェーン

<INTERVIEW>
協同組合セルコチェーン理事長・株式会社さえき代表取締役社長
佐伯 行彦 氏
協同組合セルコチェーン理事相談役・株式会社エコス代表取締役会長
平 富郎 氏
株式会社日本セルコ代表取締役社長・株式会社与野フードセンター代表取締役会長
井原 實 氏


加盟社の声と活動紹介

セルコチェーン副理事長・セルバ社長 桑原 孝正 氏
セルコチェーン副理事長・サンシャインチェーン本部社長 川崎 博道 氏
豊月社長 豊岡 憲治 氏
たからや社長 溝口 浩幸 氏


多彩なセルコ加盟社 訪問レポート

静岡県進出の今後を占う試金石店舗
 セルバ富士厚原店
人口密度の高い住宅立地に好条件出店
 たからやフレサ相模が丘店
熾烈な価格戦争に入った札幌、生鮮強化と価格訴求で攻める
 豊月・フードD平岡食彩館
部門別曜日別販促で安さを見える化した高質SM
 サンシャインクラージュ
週末と平日にメリハリ付けた特徴ある店づくり
 さえき若松町食品館
ミールソリューション化で移転後の売上大幅増
 与野フードセンター・フードガーデン日進店


多彩なセルコ加盟社 企業戦略レポート

エコス 関東圏で居抜きを含め様々な出店形態を進行
たいらや 強豪ひしめく足利に今秋、初出店
大阪屋ショップ 買上げ点数14点台と、圧倒的な支持受ける
名門ボランタリーチェーン、セルコチェーンの歩み


クレーム・トラブル対応と解決のコツ 39小澤信夫

接客サービス・不感症の応対


チェーンストア・コンビニ4月度販売概況

価格競争激化、GWはETCなど経済対策が効く
 コンビニ、12か月連続プラス、SM、GMS、若干上向く


消費の現状とSMの対応 サミットに見るMD戦略

田村 詔 商品本部長に聞く


企業動向

新生明治HD首脳、カテゴリー首位実現の中経を発表


今週の大店立地法公示速報


交差点

大盛り100円増しは出血サービス?



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