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No.521-10/20

社員シェフに「エコと高質」。
挑戦するフレスタの“ビッグな闘い”

No.521号

  人口117万人の中国地方の拠点都市・広島市。14年前のアジア大会を機に開通した北部を巡る新交通システム・アストラムラインの沿線では人口増が顕著で、商業施設の競合も激しくなっている。市内中心部から北へ6kmの毘沙門台駅近くの安川沿いでは、7月に地元のフレスタが最新店の相田店をオープンした。旧ジャスコ店を業態変更したザ・ビッグ安古市店とはわずか250mほどの至近距離にある。社員シェフが店内の食材を使って惣菜メニューを提供、「エコと高質」を武器に挑戦している。


  新大阪から山陽新幹線の「のぞみ」で1時間半もあれば広島駅に着く。駅に滑り込む直前、左手に「新広島市民球場」が姿を現していた。旧市街はJR線から南を中心に広がるが、新しい市域は北側の丘陵地帯にある。アストラムラインと並行して北上するJR可部線は大町駅で交差するが、この辺りが「広島新市域」分岐点だ。相田店は大町駅の1駅隣の毘沙門台駅が近い。


  市中心部から約30分足らずの便利さもあって、マンションが建築され、新しい住民が張り付いてきた。新交通システムと車があれば、通勤や買い物の不便さは解消する。先に住み着いた団塊世代の子どもたちが、別所帯でこのニュータウン周辺に建設されたマンションなどに流入した。


  だが、それも経済が順調であればこそのことだ。ガソリン高や相次ぐ食品の値上げで、消費者は「生活防衛」にカジを切った。上昇基調にあった株の大暴落で、個人の投資意欲も縮んだままだ。こんなときに開店したフレスタはどんな策を取って商売しようとしているのだろうか。


  一方、ディスカウントを標榜するビッグ業態は、生活防衛時代という“追い風”を受け、やり方次第では、再び大きな流れに乗ることができる。明らかに風向きが変わり、逆風が吹き始めた「高級・高質こだわり路線」とは大違いだ。とは言っても、品質の伴わない安売り店は、見向きもされない。


  時代は一体、どんなスーパーを要求しているのだろうか? 「安心・安全、健康、そしてエコも大事だし、低価格も外せない」――そんな消費者の過大な要求を満たすスーパーとは。業界を取り巻く大きな課題の答えが毘沙門台地区には用意されている。
(5〜8ページに関連記事)


今週の目次




チェーンストアの危機管理対策 番外編

防火訓練を通して分かった煙の恐怖「個室ビデオ事件の教訓」
頭より体に覚えさせることが肝心
 館内放送が、お客の命を救う


SJ新店レポート

生協、ディスカウンターに割って入った「高質スーパー」の勝ちパターンとは
 フレスタ相田店
商圏防衛型の省エネモデル店舗
 サミットストア新川崎店
ライフスタイルに合わせた新型GMSを目指す
 ジャスコレイクタウン店


「消費沈滞」の本質は「スクイズ」である

(株)島田研究室・代表 島田陽介


今週の業界トピックス

イオンモール サティが核店舗の「イオンモール草津」11月26日開店
マキヤ 創業家の経営者が辞任し、新社長に河原ア康雄氏が就任


クレーム・トラブル対応と解決のコツ 24小澤信夫

難クレーム(悪質なクレーム):保険所に届けるぞ!
マスコミ等に公表するぞ!企業の弱みにつけ込まれた場合


牛乳・乳飲料&ティーの動向 森永乳業のマーケティング戦略

生活防衛?で高額の牛乳も売上鈍化
 おいしい牛乳、3品体制強化で巻き返す
 リプトン順調もカップコーヒーは高額品見直しへ


企業動向

味の素、2008年歳暮ギフトの販売戦略概要を発表


食品マーケティング

業務メーカー、秋・冬の攻め
 日東ベスト、冷食・3種類の焼きそばの重点販促
徐々に増える黒酢ベースの調理食品
 タマノイ酢は「黒発酵法」(特許出願中)の米酢


今週の開店情報一覧


今週の大店立地法公示速報


交差点

苦戦する外食業界で成長する2社



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